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| トンネルぐるぐるまわる□♪ |
幼い頃はよくお盆に家族旅行にいった。 だいたい信州が多かったようなきがするが、信州までは父が運転する。 私と姉は、後部座席で何時間も暇な時間を過ごすわけだ。 そんな時はよく姉と歌を作った。 トンネルに入ったら 「トンネルぐるぐるまわる□、トンネルぐるぐるまわる、HEY!」 とトンネルを通過するまでエンドレスに歌う。
今はもう父もいないし、姉も働き、私も来年は働く。 信州へ家族旅行に行く事なんてないが、家族4人でいった旅行はいまでも鮮明に憶えている。
父は、生まれた時から父(私の祖父)がいなかった。先の戦争で亡くなっていたからだ。 「父の愛情」というものを経験した事がなかった父は、家庭を持って子供が生まれても、その表現の仕方に困ったらしい(母談)。 だからこそ、父は「ドラマ」のような「父親」を演じた。 日曜日には、釣りやキャッチボールをし、夜は家族で外食へ行く。 休みには、毎年家族旅行へ行く……。 自分が経験できなかった事をすべて、「父親」役で演じた。
私はそんな父の愛情を受けている。自分に子供ができた時、私もまたそうしようと思った。
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